旗本喧嘩鷹
浪人巷にあふれる享保元年――。月番老中、堀田甲斐守が下城の途中、何者とも知れぬ刺客の一団に惨殺された。城中では、ただちに重臣会議が開かれ、以後重臣の身辺に護衛が配置されるという非常体勢が布かれたが、この時期に当たって、上様お声掛の旗本宝大吉の登用が計られた。この頃、当の宝大吉は、堅物の用人可内に財布の紐をしめられ、質屋ののれんをくぐるという気ままな浪人暮らし、しかも質草が自分のうで一本というのだから、大吉にぞっこんの女主人お柳もあきれ顔だ。折から大吉の叔父対馬守が仕官をすすめに来るが、大吉はこれを柳に風と受け流す。大吉のこの公儀嫌いは、時の若年寄駿河守の妹、文との恋の痛手に根ざしていたのだ。駿河守は、大吉と文の恋仲をきき、自分の出世のために文を大老家に嫁入らせ、若年寄の座についた…(C)東映