バルバラ セーヌの黒いバラ

バルバラ セーヌの黒いバラ

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フランス、パリ。撮影スタジオでは、フランスを代表する国民的シャンソン歌手バルバラを描く映画の撮影準備に入っていた。主演はブリジット(ジャンヌ・バリバール)。監督はイヴ(マチュー・アマルリック)。ブリジットは役作りのために撮影期間中に用意された住まいにグランドピアノを準備し、その部屋はさながら映画のセットと同じようだ。スタッフから「脚本は日々変わる」と言われると、彼女はこう返すのだった、「わたしも変わる」と。ブリジットは憑かれたように、バルバラの仕草や表情をまねる。わずかな口角のあげ方、手先の動き、もちろんその特徴のある歌声。やがて、誰も演じえないと言われていた伝説の歌手が、カメラの前に姿を現すのだった。一方、イヴはバルバラが歌ったキャバレーや劇場での証言を集め、彼女の人生に足を踏み入れていく。少年のころに出会った彼女の曲に救われた経験のあるイヴは、映画監督という立場を超えて、ブリジット演じるバルバラにとり憑かれていき、自分を見失っていくのだった。そしてイヴ以上に、ブリジットはバルバラと化していく。自分の人生を歩んでいるのか、あるいはバルバラの人生を歩んでいるのか。撮影されている映画は、バルバラを描いているのか、あるいは別の誰かの人生なのか。さらにはスクリーンのこちら側にいるわたしたち観客すらも、その境界線に惑わされ、バルバラなのか、ブリジットなのか、もはや曖昧になったふたりの人生の輪郭を追体験することになる。
出演 ジャンヌ・バリバール、 マチュー・アマルリック、 Vincent Peirani
監督 マチュー・アマルリック