高校2年生の遙は学校帰りのバスの中で、淋しげな表情を浮かべる少年・翼と一緒になる。なぜか翼のことが気になる遙。遙は翼のいた席の近くで、可愛らしいクマの人形が落ちていることに気づき・・・。翼は「たんぽぽ農場」という施設に向かっていた。そこでは少年院を出た少年少女たちが社会復帰するため、いじめ・薬物中毒・虐待などの辛い過去を持つ子供たちが立ち直るために家族と離れて暮らしている。この施設の主宰者である北山は翼を温かく迎える。ある日、たんぽぽ農場で暮らす少年が、アルバイト先のコンビニで客に刃物を向ける事件を起こす。どうして・・・と言葉を失う北山。数日後、遙は落し物を届けに「たんぽぽ農場」を初めて訪れる。
遙を盾にした幸宏は、彼女を突き倒して逃亡を図る。その際、幸宏が落としていったナイフを拾ったアヤメの顔色が変わり・・・。北山に送られて帰宅した遙は人形を落とした少年の名前が翼だと知る。遙は翼も幸宏のように何か問題を起こし、この農場に来たのかと北山に問う。しかし翼が不良だとはなぜか思えない遙だった。翌朝、幸宏は警察に捕まる。幸宏の事件は、私のせいかもしれないとアヤメは北山に打ち明ける・・・。
アヤメは自分の身に降りかかった悲劇を北山に伝える。偶然、その話を翼も聞いてしまい・・・。北山は事実を確かめるべく行動に移し、アヤメの話が嘘でなかったことを確信。幸宏がなぜ傷害事件を起こしたのか刑事に打ち明けるが、刑事はまともに話を聞こうともしなかった。さらに町中のたんぽぽ農場に対する風当りは強くなるばかりで、裕也は学校でいじめられ、町から立ち退いて欲しいと北山に抗議してくる者まで現れる。
「勇気を出さなきゃいけない、でも怖くて言えない」――アヤメが自ら命を絶とうとする。寸前のところで翼がアヤメを助けるが、北山は自分がアヤメを追い詰めていたのだと衝撃を受ける。一方、遙は所属するバスケ部の同級生が先輩から特訓という名のいじめにあっていることに我慢ならなかった。遙は正義感から抗議するが・・・。そんな中、たんぽぽ農場はとうとう市場での取引を中止されてしまう。しかし、北山は必死で取引先を探す。そんな北山を見て、娘の有里はこのままこの施設を続けていくことは無理だ、とやめることを促す。さらに、「お母さんたちのことを忘れたの・・・」と問いかけるが・・・。
市場で野菜を取り扱ってもらえず、北山は農場の庭で直接野菜を売ることを発案。しかし子供たちは、買いに来てくれる客などいるのか、と半信半疑だ。その頃、先輩に目をつけられた遙はいじめの対象に。友達にも裏切られ、前向きな遙もさすがに落ち込むが、さらに家族に関する衝撃的な出来事が遙を待ち受けていた。一方、アヤメから慕われるようになっていた翼だが、彼女からなぜ「たんぽぽ農場」に来たのかと聞かれ、自分が起こした事件を思い出して・・・。
学校をさぼった遙は海岸で偶然翼と出会う。翼との距離を縮めようと遙は積極的に話しかけるが、翼はそっけない態度で「たんぽぽ農場には関わるな」と言ってその場を立ち去ろうとする。しかし、振り返ると淋しげな様子の遙に、翼はつい声をかけるのだった。たんぽぽ農場では、市場で野菜を扱ってもらえず、ほとんどの子がやる気をなくしていた。それでも北山は畑に出ることを止めようとしなかった。北山や翼が作業をしているとそこに遙がやってきて・・・。