伊右衛門とお岩は互いに惹かれあいながらも、お岩の父・四谷左門によって夫婦の仲を引き裂かれていた。だが、どうしても寄りを戻したい伊右衛門は、左門の命を奪ってしまう。それとは知らずに再び伊右衛門と契りを交わしたお岩であったが…。
産後の肥立ちが悪いお岩にと、伊藤家のお槙から薬を受け取った伊右衛門であったが、実はお岩の顔を醜くするための毒薬であった。そうとは知らずに薬の礼に伊藤家へ出向いた伊右衛門は、そこで孫娘のお梅との縁談を持ちかけられ、それを受け入れたのだった。その一方、お岩は毒薬を飲み激しい苦しみに見舞われていた。美しい顔はみるみると醜く、恐ろしいものへと変貌していった…。
お岩の祟りによって次第に追い詰められていく伊右衛門。だが、お岩の妹であるお袖は未だにお岩の死を知らずにいた…。そこへ偶然めぐり会った宅悦によって事実を聞かされ、伊右衛門への仇を胸に誓うのであった。そのために、直助と本当の夫婦となるべく寝床をともにすることを決意したお袖だったが、死んだはずのかつての許婚である与茂七が訪ねて来たのだった…。
伊右衛門ばかりでなく、伊右衛門を取り巻く人間たちにもお岩の祟りが広がっていく。浪人仲間の長兵衛、伊右衛門の母・お熊、伊右衛門の父・源四郎…。伊右衛門も、もはや正気を保っていることはできなかった。そこへ、お袖の代わりに仇討ちをするべく与茂七が現われる。剣を交える二人の間に突如、猫程の大きさの鼠が伊右衛門に飛び掛かり、その隙をついた与茂七の刀が、伊右衛門の体を貫くのであった。
人を食らう忘れ神が住むという白鷺城。ある日、武田播磨守の鷹匠であった姫川図書之助は、森に迷い込んだ鷹の小次郎を連れ戻すため森に入り、そこでこの世のものとは思えないような美しい娘に出逢うのだった。物の怪の奇々丸・怪々丸にその娘こそが白鷺城の忘れ神であることを知らされたが、富姫と図書之助は互いに惹かれはじめていた・・・。
小次郎を連れ戻すために再び白鷺城を訪れた図書之助。門の前で出くわした奇々丸と怪々丸たちとともに天守閣へ向かうこととなるが、忘れ神たちの襲撃に成すすべもなく囚われてしまう。そんな図書之助たちは、意外にも富姫の手によって牢屋から助けられる。そして富姫は、「アグリ」と呼ぶ鷹の小次郎には、かつて人間に恋をして人里に降り、人として死んでいった母の魂が宿っていることを図書之助に語るのだった…。
平田広明
Iemon Tamiya
緑川光
Zushonosuke Himekawa
櫻井孝宏
Kusuriuri
今沢哲男
監督
永山耕三