京都の寂れた通りに店を構えた居酒屋「のぶ」は、正面入口がなぜか異世界へと繋がってしまっていた。大将の矢澤信之(やざわのぶゆき)と給仕の千家しのぶ(せんけしのぶ)は、その異世界の街・古都アイテーリアで店を始めることにする。衛兵、職人、商人、貴族……誰でも気軽にちょっと一杯。そんな居酒屋「のぶ」は、今日も通常通り営業中。
エピソード1
おでんのじゃがいも/若鶏の唐揚げ
「おでんのじゃがいも」 古都アイテーリアで衛兵として働くハンスが、同僚のニコラウスに連れて行かれたのは、居酒屋「のぶ」という名の不思議な酒場だった。期待を膨らませるハンスの前に出されたのは、透き通る黄金の酒「トリアエズナマ」、そして見たこともない温かな料理「おでん」だった。 「若鶏のから揚げ」 衛兵隊長・ベルトホルトが、部下のハンスを伴い、最近噂の居酒屋「のぶ」にやってきた。ベルトホルトは信之の腕前を試すため、古都ではまずいものの代名詞とされる、鶏肉料理を注文する。
エピソード2
お嬢様の難題/はじめての海鮮丼
「お嬢様の難題」 ヨハン=グスタフと、わがままな姪っ子ヒルデガルドという二人の貴族がやってきた。ヒルデガルドの注文は、「臭くなくて辛くなくて酸っぱくなくて苦くなくて硬くなくてパンでも芋でもお粥でも卵でもシチューでもない、おいしいもの」。古都にある数々の名店も匙を投げたその難題に、信之はどう答えるか。 「はじめての海鮮丼」 麦の仲買人・イグナーツは、妹の結婚相手であるカミルの気の小ささを心配していた。妹を任せられるような立派な男になってほしい。そう願うイグナーツは、未来の義弟の度胸を試すため、ある試練を課す。
エピソード3
しのぶちゃんの特製ナポリタン/キスの日
「しのぶちゃんの特製ナポリタン」 ゲーアノートはあの手この手で税金を搾り取る、泣く子も黙る徴税請負人である。居酒屋「のぶ」に目をつけたゲーアノートは、支度中の店で店主・信之の帰りを待ちながら、店の粗探しを始める。 「キスの日」 衛兵・ハンスはニコラウスから、今日は居酒屋「のぶ」が「キスの日」であることを聞いた。「キスの日」とはいったい何なのか。まさか、しのぶちゃんが、そんな破廉恥な……! 「キスの日」を楽しみにしていたというしのぶの言葉の真相は……!?
エピソード4
盗人/仕事帰りの豚汁
「盗人」 居酒屋「のぶ」に盗人が入ったという知らせを受けて、聖職者である助祭・エトヴィンがニコラウスを伴ってやってきた。しかし店は通常通りに営業している。ニコラウスがしのぶを問い詰めると……居酒屋「のぶ」に入り込んだ、盗人の正体は……? 「仕事帰りの豚汁」 冬の寒さが厳しい夜。居酒屋「のぶ」の前に衛兵のニコラウスが倒れていた。しのぶたちに助けられたニコラウスは、その身に降りかかった災難と、その後の厳しい試練の数々を語り出す。ニコラウスが乗り越えられたその秘策とは?
エピソード5
中隊長の弱点/招かれざる客
「中隊長の弱点」 鬼と呼ばれ恐れられるベルトホルトの唯一苦手な食べ物は、イカである。イカ漁師の娘と見合いをすることになったベルトホルトは、信之に様々な料理を出してもらい、何とか苦手を克服しようとするが……ベルトホルトとイカにはどんな因縁があるのだろう。「招かれざる客」 美食家で知られる〈気取り屋〉ブランターノ男爵とその従者たちが居酒屋「のぶ」に押しかけてきた。用心棒を使って強引に店を貸し切った従者のダミアンは、「シュニッツェル」を出せと言ってくる。信之が作り方を訊きに出ている間、しのぶとエーファはまかないようのサンドイッチを作り始めるが……。
エピソード6
親方喧嘩/美女と油揚げ
「親方喧嘩」 鍛冶職人マイスター(名人)・ホルガ―と、ガラス職人マイスターのローレンツは、互いをよく知る幼なじみ。自分の頼んだ料理のほうがトリアエズナマに合うだの、こっちのほうが美味いだの喧嘩を始めてしまって剣呑な雰囲気に!? 「美女とあぶらあげ」 お客が全員帰っていった閉店間際、その女はいつの間にかカウンターに腰掛けていた。水干を着て、不思議な雰囲気をまとうその人は、油揚げをつまみに冷酒を傾ける。その物憂げな目にはどこか見覚えがあると、信之としのぶは首を傾げる。
三森すずこ
杉田智和
森久保祥太郎
浪川大輔
阿部敦
小西克幸
久野美咲
小野勝巳
吉田伸