宇宙からみた地球

ケニアではアフリカゾウが干ばつに苦しんでいた。しかし衛星画像を見ると雨が近づいている。雨が降り、ゾウは生き延びた。南極の白い氷の上に茶色いしみが。コウテイペンギンのウンチだ。研究者はウンチを目印に、調査を進めている。バイカル湖には黒い輪が見える。リング状に氷が割れ、バイカルアザラシの赤ちゃんを脅かしている。ボツワナ上空からはオカバンゴ･デルタが見える。カバが移動して作り上げた水路のネットワークだ。極寒の横断山脈にはクロキンシコウ。衛星画像で彼らが山に残る理由が分かる。さらに少林拳の生徒たちのパフォーマンスまで見える。

人工衛星カメラで見る地球はまるでパッチワーク。地表の線や模様は、動物、大自然の力、人類によって刻まれてきた。熱帯のサンゴ礁には輪のような模様。小魚がエサを食べた跡だ。コンゴのジャングルには、マルミミゾウが踏み固めた広場が。南オーストラリアには、ミナミケバナウォンバットが暑さをしのぐために作った巣穴が見える。ブラジルの国立公園には、雨期になると何千もの淡水池が出現。サハラ砂漠には星形の模様、西アフリカには同心円状の輪、イランの塩の砂漠には渦巻き模様が。アマゾンの熱帯雨林には曲がりくねって進む川が作り出した三日月湖がある。中国の八陽湖は乾期になると大部分が消える。

人工衛星カメラで見る地球は万華鏡のように常に変化している。オーロラは宇宙から見るとまるで別物。アラスカ沖では大量発生したプランクトンが美しい色の渦を作り上げていた。これらのプランクトンをニシンが食べ、ニシンをトドが食べ、トドをシャチが食べる。グリーンランドには、氷の上に複数の青い湖が。温暖化により氷が溶けているのだ。東アフリカの湖ではピンク色のコフラミンゴの集団が求愛のダンスを踊る。中国では春になると一面が菜の花の黄色に。オーストラリアではグレート･バリア･リーフの変化が。温暖化でサンゴが白化しているのだ。

地表は急速に様変わりしている。東京と周辺都市は世界で最も人口が多い都市圏となった。中国･深センは35年で大都市に成長。土地が切り開かれれば自然は消える。コンクリートだらけのインド･チェンナイでは、ある男性がワカケホンセイインコを保護している。アマゾンやマダガスカル島では森林破壊が深刻化。インドネシアでは、この20年でスマトラオランウータンの生息地の8割が失われた。産業活動によって排出されるガスは地球温暖化を加速させ、ハリケーンは巨大化し、山火事が増加している。だが自然を取り戻しつつある場所もある。タンザニアでは、人々の努力により荒れた土地が再生。森に棲むチンパンジーが救われた。