撫子学園の大学生であり、同学園の高等部の美術部顧問代理を務める上倉浩樹の元に、北海道から従妹の鳳仙エリスが居候としてやってくる。浩樹はエリスが生まれた頃から、彼女を実の妹のように可愛がっており、彼女に絵を教えたのも浩樹である。エリスは絵の才能を買われ、撫子学園高等部の特待生として入学したのだ。入学式の後、浩樹の受け持つ美術部に見学しにきたエリス。物怖じしないその性格が、美術部員たちとの間でなんとなく、よくない雰囲気に…。そして、追い討ちをかけるように真っ赤なバラを巡って、問題が起こる…。
浩樹の幼馴染である桔梗霧が、偶然にも体育教師として赴任してくる。浩樹と霧は、高校卒業後、疎遠になっていた。それというのも、霧は高校時、浩樹に告白してフラれたという経緯があるから。突然の再会になんとなくぎこちない二人だが、会話を交わすうち、自然と昔のように戻っていく。エリスは二人の間に入り難く、それがなんとなく面白くない感じで…。一方、霧は、思い出話から浩樹の絵に関する話題に触れるが、今の浩樹は教師を目指し、既に絵を描くのをやめてしまっていた。だが、浩樹は、そのことを霧に言い出せずに……。
撫子学園2年生の萩野可奈は、なぜか浩樹になついている、いつも元気な女の子。そんな彼女の正体は、プロの恋愛小説家で、学園内でもちょっとした有名人。ひょんなことからそれを知った浩樹は、可奈に著書の感想を求められ、「恋愛に現実味がない」と答える。それは、可奈自身も気にかけていた事柄だった。恋愛小説を書いているのに、恋愛経験がない可奈…。落ち込んでしまった可奈をほうっておくこともできず、彼女の取材協力(?)のため、可奈と浩樹がデートをすることに!!なんだか、嵐がおこりそうな予感…!
美咲菫は合唱部に所属している撫子学園三年生で、生徒からは、「歌姫」と呼ばれている。父は日本画家、母はフルート奏者、姉は新進気鋭の画家という芸術一家に生まれた彼女。合唱部がコンクールを控え、部員全体が練習に励む中、なぜか彼女は練習の中に入ろうとしない。彼女はほんの些細なことから、人前で歌えなくなってしまったのだ。自分から見れば、恵まれた境遇にいる菫に対して、最初はあまりいい印象を持たなかったエリス。ふとしたことから菫と話す機会を持ったことで、彼女の悩みを理解し、菫を応援し始める。果たして菫は合唱コンクールで無事歌うことができるのか?
浩樹の教育実習が始まった。受け持つのは、エリスのクラス。初日から、なんだか怪しい雲行き…。それというのも、問題児、藤浪朋子の存在があるから。藤浪朋子は、病弱で学校も休みがち。本当は寂しがりやだが、強がっている態度がどうにもつんけんしたイメージを持たれがちで、そのせいかクラスメイトたちとも、なかなか打ち解けられずにいる。猫に餌をやったりする優しい朋子を知っている浩樹は、そんな彼女の不器用さをどうしても放っておくことができず、なんとかクラスメイトと朋子の仲を取り持とうとするのだが…。
撫子学園高等部の恒例行事、研修旅行に、浩樹も引率として参加することになった。霧は浩樹が絵を諦めて教師になることを良く思っていないため、朋子の一件以来、なんだか教師らしくなっていくのが気に入らない。教師の道は甘くないということを浩樹にわからせようと張り切るが、あえなく失敗。それを逆に浩樹にフォローされる始末。そんな二人のやり取りは、傍から見ている限りでは、まるで恋人同士のよう。それを見て、エリスはなんだか胸がざわめくのを感じる…。