三千鴉の恋歌
驪 (り) 国の皇女、燕燕は、父母や兄、初恋の人である宰相の息子、左紫辰たちに愛され、幸せな日々を送っていた。しかし、敵国である天原国に寝返った紫辰の父が、妖魔を擁した天原国の兵を都に引き入れてしまう。家族が次々と命を奪われる中、運良く難を逃れた燕燕は、仙術の師匠と共に都を離れる。悲しみに暮れる燕燕に、仙術の師匠は「霊灯」といわれる法器を灯せば、妖魔を封じることができると話す。しかし、そのためには自らの命を差し出さなければならない。それでも復讐を誓った燕燕は、名を「覃川」と改め自分を庇って命を落とした侍女の顔を借りて、霊灯が隠されているという香取山に足を踏み入れる。