エピソード1
乳房を失って再会
98年春のある朝。駅のホームへ続く階段で、神宮寺祥(中井貴一)は転びそうになった風間美咲(稲森いずみ)を助けた。だが礼を言い続ける美咲を、神宮寺 は無視するだけ。すねた美咲は本を読み始めたが、すぐに居眠りをし、本を落としてしまう。その本「逆境の心理学」は神宮寺の著書だった。神宮寺に指摘され、焦る美咲。神宮寺は、その厳しいやり方で学生達から恐れられる啓聖学院大学の 優秀な心理学の教授だった。 1カ月後、美咲は撮影用のプールで神宮寺と再会。美咲を思い出せない神宮寺に、美咲は「逆境の心理学」をあれから少しは読んだと叫ぶ。そんな美咲を取り合わない神宮寺に、美咲はイブにこの場所で本の感想を述べてあげると啖呵を切る。だが、ふと左胸に手をあてた美咲の手には血が・・・。 数週間後、乳癌の宣告をされ愕然とした美咲は、「逆境の心理学」を手にとるうち、思わずその内容に引き込まれる。 イブの手術日、ストレッチャーで手術室に運ばれる美咲の胸には「逆境の心理学」が・・・。 そして99年春。美咲は啓聖学院に入学。だが神宮寺は相変わらず美咲のことをあまり覚えていず、冷たい。 それでもめげずに再び神宮寺の講議に出席した美咲は、神宮寺にひどい言い方をされ、教室を追い出されてしまう。怒った美咲は講議終了後、神宮寺に詰め寄った。自分は「逆境の心理学」を書いた神宮寺祥の講議を聞くためにここへ来たのだと。すると神宮寺は冷たくこう言った。 「こんなものは絵空事だ」と・・・。
46分 · 1999年4月14日