東京湾上に浮かぶ東京零号埋立地。その島と本土をつなぐのは一本の海底トンネルだけ…。誰が何のために建設したのか。国や全ての関係者が沈黙を守っていたその島の所有者が、今日…ついに姿を現わしたのです。
世間は吸血鬼の話でもちきりで――でも彼は、その話題が出るたびになぜか不機嫌になっていました。そう、彼自身忘れていたんです。二人の物語はもっと昔。――私が彼と出会うずっと前から、始まっていたことを――。
それは青天の霹靂でした。あのときの私は彼のことで頭がいっぱいで――でも、あのとき彼女と一緒に帰っていたら…。この日を境に私たちの学園は、吸血鬼たちが踊る、めくるめくロンドの舞台の一つとなったのです…。
世界はこの日ヴァンパイアを知りました。誰もが否応なしに、その存在を信じざるを得なくなったのです。そしてその静かな衝撃が産み出した波紋が、ひっそりと着実に私たちのすぐそばに迫ってきていたのです。
人々から畏怖の念と好奇の視線をもって迎えられたヴァンパイアの女王…。傲慢、自信家、そして時折みせる可憐な儚さ…。でも、私はまだ気付いていませんでした。彼女の本当の怖ろしさにも。本当の、哀しみにも――。
あの夜、恋の終わりを知りました。人を好きになるのは幸せなことだと信じていました。それは無邪気でいられた子供時代の終わり。――この頃の私達は、その黄昏の中で迷い続けていました。いつか来る朝を信じて…。
悠木碧
Mina Tepes
中村悠一
Akira Kaburagi Regendorf
渡辺明乃
Nella
喜多村英梨
Nelly
斎藤千和
Yuki Saegusa