月がきれい

小説家志望の文芸部員、小太郎。茜は陸上部で短距離走専門。中学3年になり、初めて知り合った2人。家族と食事に出かけたファミレスで出くわしたり、運動会の用具係で一緒に作業したりが続き、互いを意識し始める。

中学最後の運動会。小太郎はくじ運悪く出走した競走で転倒、保健室で茜の親友・千夏の治療を受ける。千夏の奔放さに気圧されて用具係の仕事に戻ると、最終種目のリレー出走直前だというのに、茜の様子がおかしい。

運動会が終わると次は修学旅行。中3の初夏は浮ついた空気の中、過ぎていく。LINEで連絡を取り合うようになった茜と小太郎。陸上競技会で自己ベストを記録した茜は、喜びに任せて小太郎のいる神社へ報告に行く。

「少し待って、返事。」 戸惑いのままに迎えた京都への修学旅行。小太郎も2人きりになれる機会を作ろうとLINEで待ち合せの連絡を入れるが、茜の返事を待たずにスマホを没収されてしまう。翌日、雨の中待つ茜は…。

誰も知らないけど、私と安曇くん、付き合い始めました――。特に理由はないけれど、2人の仲はまだ秘密。でも「つきあう」って何するの？初めてのことに気持ちは盛り上がりながらも、悩ましい小太郎と茜は…。

「私、安曇くんのこと好きになっちゃったみたい」親友である千夏からのメッセージに、部活の大会を目前に控え茜は気もそぞろ。そんなこととは知らない小太郎のもとには、出版社から連絡があり、会いに行くことに。