憎しみに微笑んで

水族館でイルカの生態を研究している牧野幸治(保阪尚輝)は､8年ぶりにアメリカから帰国した異母兄弟の兄･敦(柳葉敏郎)と会った｡幸治は､兄との再会を喜ばず､15年前､海でボートが転覆し海に投げ出された幸治の母･美紗子(田中好子)の手を敦が離し溺死したことを思い出していた｡敦と幸治は､久しぶりに父･信一郎(津川雅彦)と一家団らんの夕食をし､その時､信一郎が後妻に迎えるという菅原啓子(田中好子)を紹介した｡啓子は､敦がアメリカで同棲し捨てた女性で､敦を忘れられず信一郎に接近したのだ｡さらに､その席で信一郎は敦の結婚相手に資産家の娘･村木裕美子(七瀬なつみ)を紹介｡裕美子は､数カ月前ニューヨークで見合いをし､敦と一夜を共にした女性だった｡

信一郎(津川雅彦)は､敦(柳葉敏郎)に資産家の娘･裕美子(七瀬なつみ)との結婚を急ぐように勧める｡その敦との復縁を望む啓子(田中好子)は､幸治(保阪尚輝)に敦との過去や現在の敦に対する思いを告白するが､幸治は見向きもしなかった｡嫉妬心から啓子は､敦と裕美子の縁談まで妨害を始める｡一方､敦は信一郎の会社の専務に就任し､入社早々､再建策として大胆な人員整理を行った｡そして､啓子からの執ような愛を断ち切るように､敦は裕美子をホテルで抱いた｡そんな中､啓子は偽名を使い裕美子の父の秘書に面会し､敦の過去の女性関係を密告してしまう･･･｡

母を死なせ､めぐみ(ちはる)までも陵辱した兄･敦(柳葉敏郎)に､幸治(保阪尚輝)は憎しみを爆発させて突進した｡しかし､幸治は傷だらけの顔で研究所に出勤することになる｡一方､啓子(田中好子)は挙式が目前に迫った裕美子(七瀬なつみ)に､ニューヨークでの敦との同棲生活､そして敦に接近するために信一郎(津川雅彦)の後妻になったと告白した｡敦の結婚を阻止したい啓子の行動は次第にエスカレート｡ある日帰宅した敦は､義母の着物を着た啓子を見て､生前の義母の記憶がよみがえる｡敦は､啓子の行為が嫌がらせに思えて仕方がないが､啓子が執ように求めてきたのに応じてしまう｡その場を幸治に目撃された敦は､いたたまれず家を飛び出す｡

幸治(保阪尚輝)は､敦(柳葉敏郎)に殺意を持って追いかけていったが､敦が解雇した工藤和也(山口粧太)に目の前で刺されたのを見逃せず､敦を助けた｡啓子(田中好子)は､幸治が敦を刺したものと思い込み､信一郎(津川雅彦)に連絡｡信一郎は､敦を知り合いの病院に入院させ､刺傷事件のモミ消しをし､幸治を激しく追及する｡しかし､敦の新しい秘書･久保(正城慎太郎)が､犯人の工藤を連れて敦の病室に現れ､幸治の疑いが晴れる｡幸治は､敦に15年前の母の死を忘れさせないために助けたと告げ｢めぐみ(ちはる)にだけは近づくな｣と言い残す｡

啓子(田中好子)が妊娠した｡しかし､父親が信一郎(津川雅彦)なのか敦(柳葉敏郎)なのか分からない｡啓子が､敦に打ち明けると｢この家を出る最後のチャンスだ｣と言うだけだった｡幸治(保阪尚輝)もそのことを知り､敦をますます憎むが､敦は全く動じない｡その翌日､裕美子(七瀬なつみ)も妊娠していると発言｡2人同時の妊娠を知った信一郎は､大喜びで業績不振にあえぐ事業に熱を入れる｡そんな信一郎は､新規プロジェクトにアクア事業を計画｡敦が事業資金を作り､幸治が商品を生む一大同族事業構想を決める｡だがその夜､幸治はめぐみ(ちはる)が帰宅していないことを知る｡

敦(柳葉敏郎)と幸治(保阪尚輝)は､信一郎(津川雅彦)の下で新プロジェクトのスタッフとして行動することになったが､敦は自分の力で事業を成功させ､信一郎を見返してやろうとたくらんでいた｡一方､啓子(田中好子)はお腹の子どもの父親は敦だと主張したが､血液型から信一郎の子と判明する｡その夜､送別会を途中退席しためぐみ(ちはる)を追い､幸治がアパートに来た｡めぐみは､幸治が自分に好意を持っていると確信できない思いをぶつける｡幸治はめぐみを抱くことで自らの愛を表現するが､敦が現れ･･･｡