日本のおもてなしに挑戦 ～ドラマ 花嫁のれん 番外編～

「プロが選ぶ36年連続日本一」に輝いた老舗旅館「加賀屋」で、在留外国人が仲居修行に挑戦するプロジェクトがスタートした。日本一の「おもてなし」を学ぶために集まったのは、25の国と地域に及ぶ100名以上の参加希望者。その中から選ばれたのは、出身も職業もバラバラな6人の女性たち。――日本の伝統文化に興味を持つ、アメリカからの留学生・エミリー、日本人の男性と結婚したメキシコ出身のアナ、芸者になりたいとスペインから来日したブランカ、大学で異文化コミュニケーションを学ぶ、ウズベキスタンからの留学生・シトラ、旅行雑誌の編集長で女の子の母親でもあるフィリピン出身のクリスティーン、多言語を操り、日本で社会人生活を送っている台湾出身のペイチェン。東京での研修プログラムを経て、加賀屋へと出発した6人は、その道中、仲居修行に向けて、期待に胸を膨らませるものの、「自分たちを受け入れてもらえるのか」という不安も拭えない。いよいよ「加賀屋」に到着した6人を待ち受けていたのは、予期せぬ「おもてなし」だった。

日本一の旅館「加賀屋」に到着した6人を出迎えたのは、玄関口にずらりと並んだ女将や仲居さんたちの姿。これも、加賀屋伝統の「おもてなし」の一つ。日本海を一望できる美術館のような館内、目を見張るような仲居さんの立ち居振る舞いに、6人は驚きを隠せない。「加賀屋」到着初日は、お客様としておもてなしを体験する6人だが、翌日からは、おもてなしを学ぶ仲居見習いの立場に変わる。この10日間の仲居修行で「加賀屋」の女将から課されたのは、「時間厳守、着付け、笑顔で気働き」の3つの課題。しかし、積極的に学ぼうとするブランカ、エミリーと、仲居さんの指導に早くも不安を覚えてしまうアナ、ペイチェンとで立場が二極化。メンバー同士で見えない溝が深まり、ついにメンバーの1人が涙してしまうが・・・・・・。

「おもてなし」は、加賀屋の中だけでは学べない。日本の伝統文化を勉強すること、観光スポットを知ることも、お客様をおもてなしする上では欠かせないのだ。修行4日目で、6人は北陸の観光列車「花嫁のれん号」に乗って金沢の観光体験へ向かう。金箔張り体験や、和菓子作り、加賀友禅絵付け体験など、日本文化の奥深さに目を輝かせる6人。ところがその一方で、お互いの文化や習慣に違和感を覚え始めるメンバーもいた。そんな夜、金沢旅館の部屋割りで、メンバーの1人が意外な提案を口にする。価値観の違いはあれど、思い出という“心の宝”を共有していく6人は、この旅で絆を深めることができるのか。

仲居修行も後半戦に差し掛かり、修行項目もワンランクアップ。しかし、修行5日目でついにメンバー間に大きな異変が。仕事と家庭の両立に揺れるクリスティーンをめぐって、シトラとアナが衝突。「もっと頑張ってほしい」とメンバーを鼓舞するシトラと、「頑張りすぎなくていい」をモットーに掲げるアナとでは、考え方が対極に。さらに、ますます厳しさを増す仲居さんの指導に、メンバー全員の疲労もピークに達していた。金沢観光で絆を深めた6人は、お互いのチームワークでこの困難を乗り切ることができるのか。

仲居修行には、もう1つの大きなイベントが控えていた。それは、加賀・能登地方から伝わる婚礼の風習「花嫁のれん」くぐり体験。花嫁の幸せを願うため、婚礼の日に贈られたのれんをくぐる伝統文化だ。しかし、この体験をできるのは、作文発表で1位を勝ち取った1名のみ。その座を狙っていたシトラ、ブランカ、アナだが、作文発表を目前に、仲居修行では遅刻やミスを連発。なんとか迎えた作文当日、これまでの仲居修行で培ったこと、自分にとっての「おもてなし」について熱弁をふるうが・・・・・・。あるメンバーから明かされたのは、「花嫁のれんをどうしてもくぐりたい」という意外な理由だった。翌日、花嫁の衣装を着て、「花嫁のれん」をくぐることになるのは、誰なのか。

10日間の仲居修行もついにフィナーレ。最終日は、前半まで苦戦していた着付けをマスターし、女将からの「合格」をもらわなくてはならない。なんとか課題をクリアするため、これまで培ったチームワークで最後の「おもてなし」に挑む6人。当初は着付けすらできなかったメンバーが、今ではお客様をお見送りできるまでに成長。全ての仲居修行を終えた6人は、女将から修了証書を授与され、とうとう加賀屋を離れることに・・・・・・。この仲居修行で得たかけがえのない“心の宝”を胸に、金沢駅で別れを惜しむ参加者たち。ところが、加賀屋の日本一の「おもてなし」はまだ終わっていなかった。