エーゲ海ではイギリス人の若者が船上パーティーの真っ最中。試験が終わり、開放的になった若い男女がにぎやかに入り乱れている。一方、国家経済が崩壊寸前のギリシャでは、若者が就職難にあえぎ、北ヨーロッパからの旅行客を相手とした観光業が唯一の頼みの綱となっている。更に、近年アフガニスタンなどから大挙して押し寄せている難民問題も深刻だ。クライヴはレバノンでDJをしていた難民の青年と一緒にバーでプレイすることに。立場の異なる若者たちとの対話を通じて、楽園と言われるエーゲ海に浮かぶギリシャの島々の現実が浮かび上がってくる。

ルーマニアの黒海沿岸、ブルガリアとの国境近くにバマ･ベケというビーチがある。 かつて“理想郷”と呼ばれ、自由を求める若者たちが集まった場所だ。現在は多くの企業や５つ星ホテルが進出し、昔のような静寂や平穏は失われてしまった。一方、コンスタンツァから北に伸びる細長いビーチ、ママヤはカネを湯水のように使う若者であふれかえる。クライヴは、2つのビーチと、バマ･ベケを愛していながらその地を離れた1人のバーテンダーを訪ね、共産主義から資本主義に変わったルーマニアに生きる人々のさまざまな思いに触れていく。

クライヴ･マーティンが今回訪れたのはドネツク人民共和国。ウクライナ政府に独立を宣言している、親ロシア派の地域だ。クライヴは、プロパガンダ一色の街に違和感を覚えながらも、都市として機能していることを実感。外出禁止令があり、10時45分には若者も街から姿を消す。クラブで兵士や情報機関の人間と会い、紛争が日常化していることを痛感させられるクライヴ。前線近くのリゾート地で開かれた泡パーティーに出かけ、規制の範囲内でナイトライフを楽しむ若者たちに出会う。市街地で警察の巡回にも同行し、禁止令違反で連行される様子を目の当たりにする。また、一軒家で開かれたパーティーの取材中、スタッフが連行されるなどのハプニングも起きる中、過酷な状況下で街に残り自分らしさを貫く若者たちと交流する。

スペインのイビサ島。イギリス人観光客に人気のサンアントニオでは、毎夜どんちゃん騒ぎが繰り広げられている。酒やドラッグで自分を失う人々が通りにあふれる一方で、イビサは世界的に有名なクラブカルチャーの聖地でもある。老舗クラブに一歩足を踏み入れると、そこには観光とは違うナイトライフが見えてくる。イビサは、夢の実現と自我の崩壊が表裏一体の映画の都ハリウッドを思わせるような世界だ。クライヴは観光客、クラブを熱くするダンサーやロボットパフォーマー、伝説のDJやカリスマDJとの対話を重ね、人々を引きつけてやまないイビサの魅力に迫る。

今回訪れたのはオランダ。のどかな風景とは対照的に、ロッテルダムはハードコア･テクノという激しい音楽の発祥地でもある。世界規模のハードコア･フェス「ドミネーター」の会場で出会ったサナや彼女の仲間との話から、ハードコアは発祥地で居場所を失い、今は信心深いキリスト教徒の多い聖書地帯にその拠点を移していることを知る。そこでは、フェスの会場にキリスト教徒が現れ宣教活動を行うという。ハードコア･グループと交流したクライヴは、メンバーが仲間や家族と仲がよく、のどかな郊外の生活になじんでいることを知る。さらにドイツ人DJにも会い、ライブにも参加。ハードコアは本当に悪魔の音楽なのか。真実に迫る。

夜遊びの街ロンドンの有名クラブには世界中から人が集まるが、近年ロンドンを象徴するクラブが次々に閉店している。行き場を失った若者たちは、空きビルなどを無断占拠して行われるスクワット･レイヴへ。しかし、騒音やドラッグ絡みの問題で警察の取り締まりが強化されると、暴動や抗議活動に発展し、大きな社会問題となった。一方、より自由で開放的な雰囲気を求めて、北ウェールズの森でのレイヴ･パーティーに参加する人々も。番組では、レイヴの主催者や参加者、ドラッグで友人を失った男性らを取材し、イギリスのクラブシーンについて特集する。