魔法使いの嫁 星待つひと:中篇
羽鳥チセ15歳。
身寄りも、生きる術も、希望も何一つ持たぬ彼女を金で買ったのはヒト為らざる魔法使い・エリアスだった。彼に『弟子』兼『花嫁』として招き入れられたチセは戸惑いつつも、停まっていた時を動かし始めてゆく・・・・・・。
そんなゆっくりと、しかし着実に時を育む、穏やかな或る日――。
倫敦のアンジェリカより届いた書籍を整理しようとするチセが見つけたのは、日本語で描かれたひとつの本。それは幼き日、その身に重すぎる荷を背負い、孤独を抱える少女が縁とした特別な絵本で・・・・・・。
茨の魔法使いと出逢う以前――チセに訪れた一片(ひとひら)の前日譚。
羽鳥チセ8歳。
そう、これは、わたしのものがたり。