今回スパイカムが探るのは動物たちの愛の形。リカオン、ナイルワニ、アフリカゾウ、ハヌマンラングールの群れに密着し、親子、家族の絆のあり方を映し出す。また、かわいらしいキスで愛情を確認するプレーリードッグや、つがいで協力して巣作りと子育てをするアカハシコサイチョウ、メスの気を引く巣を作るため、互いを出し抜き合うアデリーペンギン、メスを求めて猪突猛進するヒョウモンガメのオス、仲間の死を悼むキリン、ジャコウネコを可愛がるチンパンジーなど、これまで知られてこなかった彼らの愛情の強さや複雑さを知る機会となる。動物たちの愛情は、私たち人間のそれと変わらないのかもしれない。

今回スパイカムが探るのは、時に感動的、時にほほえましい、動物たちの関係性。団結力と役割分担で子育てをこなし、敵との戦いに立ち向かうミーアキャットの群れ、迷子になった子どもを力を合わせて何日も捜し続けるオオカミの群れなど、強い絆で結ばれた動物たちもいれば、イボイノシシの体のお手入れをして食べ物を手に入れるマングース、共通の敵から自分たちの卵を守るため、敢えて凶暴なワニの巣の近くに巣を構えるミズベイシチドリなど、互いの利益のために協力し合う動物たちもいる。また、仲間うちの順位によってその行動が大きく左右されるセネガルのチンパンジーや、音声によって情報を伝え合い危険を察知するプレーリードッグの姿など、動物たちが見せる複雑な関係性を、様々な工夫をこらしたスパイカムがつぶさに映し出す。

動物たちの驚くべき姿を撮影した「潜入カメラ (スパイカム)」シリーズ。今回はこれらを撮影するまでの人間たちの裏側に“潜入”。最新テクノロジーを駆使した骨格の上に、限りなく本物に近い毛皮をかぶせて潜入カメラは作られる。生命感を出すために妥協はしない。それはとても繊細で、地道な作業だ。そうして生まれたスパイカムたちは世界中で活躍する。ボルネオでは野生のオランウータンが人間の道具を使いこなす姿を撮影。ウガンダのワニ型カメラは、命がけでナイル川を渡るワニの母子と出会う。シラサギカメラがゾウの群れの間を何とかすり抜ける一方、カメ型カメラは踏みつけられながら果敢に撮影を続行した。