恋愛画師 オー! マイ･スイート･ライアー

ここは南西辺境の雲瑤郡。豊かな土壌を持ち、鉄の名産地でもあるこの地は古くから李家が治め、繁栄を誇っていた。熊熙若 (ユウキジャク) は歓喜仙 (カンキセン) の雅号で人物画を描く駆け出しの女流画師。今日も街で描いた画をモデルとなった美男子に売ろうとするが、突然李家の者たちに追いかけられた彼が逃げ出したため、熙若は代金を取りそこなってしまう。

阿霜 (アソウ) から持ち掛けられた儲け話に乗って、李家の若君･弘彬 (コウヒン) の屋敷に使用人として潜り込むことに成功した熙若。弘彬の入浴の手伝いをこなすものの、正体がバレそうになり、とっさに隠し持った眠り薬で弘彬を眠らせるが、うっかり自分も薬を吸い込んでしまい意識を失ってしまう。翌朝、熙若が目を覚ますとそこには…

弘彬の子を身ごもったと嘘をついた熙若は、出産までは一歩も外へ出ずに使用人として黙って弘彬の世話をするよう命じられる。何とか逃げ出そうと画策するが、どうしても見つかってしまう。ある日、楽安 (ラクアン) 公は長子の弘彬に、芸館に入り浸る弟の弘煜 (コウイク) を屋敷に連れ戻すよう指示するが、それは兄弟にある準備をさせるためだった。

弘煜が自らを描いた裸画を熙若が持っていることを見とがめた弘彬は、こんな低俗な絵が李家にあるのは許しがたいと二人を叱責する。と、そこへ目を奪われるほど美しく成長した弘彬の従妹･如児 (ジョジ) がやってきて弘彬をなだめるのだった。その晩、久しぶりに再会した如児をもてなす宴が催されるが、兄弟は楽安公から驚くべき報告を受ける。

両親から押し付けられた宋家との縁談に納得のいかない弘彬は、政略結婚を阻止するためある計画をたてる。絵の得意な熙若が宋沁 (ソウシン) を描いた美人画を弘煜が描いたものと偽って宋沁に贈り、彼女の気持ちを弘煜に向けさせるというものだ。しかし、それを察した弘煜は先手を打ち、画にある細工を施して届けさせるのだが…。

自室にあった女人の口紅を熙若に見つけられた弘煜は、慌てた素振りで友人のものだと言い訳するが、その口紅には秘めた思い出が宿っていた。一方、如児から弘煜と使用人の仲が怪しいとの進言を受けた弘彬は、熙若に密会の理由を問いただす。熙若は画の師匠と弟子の関係だと説明するが、それを素直に受け入れらない弘彬は自分に苛立つ。