1年の中で最も気温が低い季節である、冬真っ只中のイギリスの姿を、新年から追い始めます。すべての野生動物はその厳しい寒さに対処しなければならず、アカトビは、畑が耕され始めて這い出てくる虫たちを目当てに、農作業のあとを追います。フクロウは優れた聴覚を利用し、雪の下に隠れているネズミを狙います。やがて春が訪れるにつれ、イギリス全土は緑で覆われます。そしてロンドンでは人々が庭の芝刈りにいそしむのです。
3月の終わり、それは“光”を求めるレースが始まる頃でもあります。数十億もの植物や木々が、生命の源である太陽のエネルギーを利用しようと先を争う姿を映し出します。コウモリやミツバチは冬眠から目覚め、鳥や動物たちは敵からの危険をかえりみず繁殖活動にいそしみます。春から夏に移り変わるにつれ海水温が上昇し、プランクトンが発生。さらに、何百万というカゲロウが羽化し、捕食者たちをかいくぐりながら、短い命の火を灯します。
1年で最も暖かい季節の夏。たくさんの昆虫たちが現れ、夏の牧草地は彼らの羽音で騒々しい時期を迎えます。最新の熱探知カメラは、ドーセット州の平原で夜行性の鳥、ヨタカのミステリアスな生態をとらえます。また、何百万人もの人々が夏を楽しむある日、何十億ものアリが繁殖のために空に飛び立ちます。そして、イギリスを離れる前に川で最後の水浴びをするツバメたちは夏に終わりを告げるのです。
太陽の力が衰え、強大な嵐が海岸線に打ち寄せる秋。木々は活動を停止しますが、紅葉で有終の美を飾ります。日が短くなり、動物たちも準備を始めます。繁殖の季節を迎えたニホンジカたちは優位を求めて戦い、ヤマネは冬眠に備えひたすら食べてエネルギーを貯えます。アザラシたちが嵐の海で生と死のはざまを生き抜く中、陸上では神秘的な粘菌類のように繁栄するものもいます。12月に初雪が降り、田園風景は銀世界へとその姿を変えてゆくのです。