平成9年(1997)、城戸久枝は留学先の中国で、牡丹江(ぼたんこう)に住む父の親せき・春華から国慶節に招かれ、血のつながらない親せきや父の親友の歓迎を受けます。久枝はそこで初めて父・幹(かん)が中国残留孤児だったこと知り、父が生きてきた真実と向き合い始めます。終戦の年、幼い幹は中国で家族と生き別れ、牡丹江の村に住む中国人夫妻に救われます。玉福と名づけられ、養母・淑琴の愛情を一身に受けて育ちます。[FICT](C)NHK
久枝は日本語を学ぶ大学院生・劉(りょう)と知り合い留学生活を始めますが、日本人バッシングを受け落ち込みます。そんなとき、父のかつての日記を読み、成績優秀だった玉福が日本人だと明かしたことで、大学進学を阻まれ、さらに職も失い将来の夢を絶たれ、肉体労働で養母・淑琴を支えるようになったことを知ります。久枝は若き日の父から、「進めば必ず道は開ける(車到山前必有路)」という大切なメッセージを受け取ります。[FICT](C)NHK
久枝は劉(りょう)の紹介で中国残留孤児の日本語教室を手伝い始めます。そこに訪ねてきた日本人女性から、30年前、父は肉親探しを求める手紙を日本に出し続け、ようやく身元が判明したことを聞かされます。玉福は元満州軍人・城戸弥太郎の長男・幹(かん)で、実の両親は健在でした。帰国準備が進み、玉福も養母・淑琴も別離の悲しみに耐えます。しかし、日本への出国は許可されず…。久枝は父の苦悩をかみしめます。[FICT](C)NHK
久枝は牡丹江で春節を過ごし、血のつながらない親せきから受けたぬくもりに涙します。30年前、出国できない玉福は失意の日々を送り、しかも文化大革命のさなかで監視におびえていました。養母・淑琴は、生きて日本へ帰れと玉福を励まします。ようやく帰国が許可されますが、母と子は別れのつらさに苦悩します。旅立ちの日、列車がホームに近づくと、淑琴はその場に倒れこみ、玉福は淑琴を抱きしめて離れようとしませんでした。[FICT](C)NHK
日本で両親と再会した玉福は、城戸幹(かん)として生活を始めます。しかし、言葉の壁と孤独に耐える日々でした。自立のため、大学進学を願い出ますがかなえられず、家を出て働き始めます。大学進学を目指す定時制高校で陵子と出会って結婚。やがて子どもに恵まれ、親の気持ちを知った幹は危篤に陥った父に涙ながらに謝罪します。1年の留学期間を終えた久枝は、劉(りょう)から東京へ行こうと誘われますが、中国に残ることに…。[FICT](C)NHK
久枝は帰国前に訪ねた牡丹江(ぼたんこう)で父・幹(かん)の親友・呉の死を知り、14年前の牡丹江での父と養母・淑琴の再会を思い出します。養母の死を悲痛な思いで受け止めた幹。2年ぶりに帰郷した久枝は父に呉の死を伝えます。間もなく東京から訪ねてきた劉(りょう)に、「中国で過ごし、父の気持ちが少し分かった」と話します。5年後、久枝は幹とともに再び故郷の牡丹江を訪れ、凍った河の前である思いを父に告げます。[FICT](C)NHK