天保3年、上元節の祝いで賑わう長安城内。そんな中、靖安司の司丞・李必(り・ひつ)はある男を呼び寄せた。男の名は、張小敬(ちょう・しょうけい)。不義の罪による囚人だ。李必は、長安に紛れた狼衛を追跡するも、首領である曹破延(そう・はえん)を逃したという。そこで都を熟知する小敬に、成功の暁には放免するとの条件下、曹破延の追跡を命じたのだった。与えられた期限はわずか24時間。小敬の命をかけた戦いが始まる。
曹破延追跡の任を引き受けた小敬。だが、太子右衛率・姚汝能(よう・じょのう)をはじめ、囚人の小敬に対する信頼は薄いものであった。周囲の反応に、李必に放免する意思があるのかと疑う小敬。案の定、小敬を放免にはできないと話す李必だったが、ある目的を果たすには小敬の力が必要だと告げる。掟に従うのは御免と答える小敬だったが、後にかたをつけると李必に言い残し、曹破延を追うべく汝能と共に出発するのであった。
狼衛・トゥガルの後を追う小敬。だが逃れようとしたトゥガルは、人質を取ったことで逆上した民衆により殺されてしまう。トゥガルからわずかな情報しか聞きだせず、さらには長安の地図も何者かに奪われてしまった小敬。一方、捕縛計画に小敬が絡んでいることを知った靖安司の秘書監・何執正(か・しゅうせい)は、小敬の官職を罷免するよう命じる。再び囚われた小敬は、そこで仙州の程参(てい・しん)と再会することとなり…。
囚われていた小敬は、程参とともにトゥガルの放った暗号を解読し、狼衛の真の目的を察知する。すぐさま李必の下女・檀棋(だんき)に釈放するよう訴え、狼衛の陰謀を阻止すべく、長安の油坊を調べるよう命じる小敬。だが事前の申請なしに、陛下の油坊には手が出せないと話す李必。民の命より規則を優先する李必に小敬は怒りを覚える。そんな小敬を何執正は、太子・李ヨ(り・よ)のため、李必には失敗が許されないと説得する。
狼衛・トゥガルの仲間として、あぶり出された龍波(りゅう・は)という男。調べによると龍波は、平康坊のとある妓楼の常客だという。そこで小敬は、ある人物を頼りに妓楼へと赴く。だがそんな小敬を、熊火幇の秦鈺(しん・かく)が狙っていた。一方檀棋は、王宗汜(おう・そうし)将軍の娘・王ウン秀(おう・うんしゅう)が、ある娘と関わりがあると李必に報告する。檀棋に捜査を任せた李必は、その足で太子の元を訪れるのだった。
龍波を追うべく、“思恩客”の持ち主である妓女を探しに平康坊へと突入した小敬たち。だがそこは、官府の人間も入り込めないほどの無法地帯と化していた。そんな平康坊を牛耳るのは、通称“葛(かつ)の旦那”と呼ばれる黒人の奴隷であった。長安の闇取引を束ね、小敬をも警戒させる人物だが、龍波の行方を知るには彼との交渉が必要であった。小敬から用件を聞いた葛の旦那は、すぐさま瞳児(とうじ)という妓女のもとへと案内し…。