若者の代弁者は、行進の先頭に立って先導するような強さではなく、どこにも行くことができなくて、見向きもされない切実さで溢れている。僕らは、ひとりひとりで生きている。この物語はありふれた、行き止まりの中にいる、ありきたりな若者のリアルです。

カフェで働く耳の聞こえない女は、客である吃音の絵描きの男に恋をしていた。ひとに触れるとそのひとの中に「入って」しまうの、と語る彼女は夢想家と揶揄われている。ひとに触れることが禁じられた現代に送る、触れることも話すこともままならない男女のやさしく激しい恋愛短編映画

「昨日見た夢の話、聞いてくれる？」ごくありふれた日常を送る30代前半の男。彼がふと思い出した昨夜の夢を語り始める時、過去と現在が歪み始める。今ここにある世界は、現実なのか夢なのか。夢でみたあの人は、かつて会った誰かなのか。崩壊の予感のなか、歌は流れ続ける。