アニマル･ウェポン

オーストラリアのシャーク･ベイで23年間、海洋生物の研究を続けているジャネット･マンとともに、母イルカのパックを中心としたイルカの家族の暮らしを追う。もうすぐ8回目の出産を迎えるパック。それまでパックに甘えていた5歳半の息子、インディアは、母親の出産に先立って慣れ親しんだ家族の元を離れる決意をする。一方、出産時期が遅れたせいで、パックは天敵、イタチザメがやってくる夏期に子供を産むことになり…。

親しみやすい顔と、頭部を回転させるという驚異の能力を持つフクロウは世界で最も繁栄し、最も愛される鳥となった。夜になると、この神秘的な鳥は音もなく暗闇を漂う。しかし、どうやって暗闇の中を見通し、静かに飛ぶことができるのだろうか。また、一面の雪で獲物が見えない中でも、フクロウは視力に頼らず一発で獲物を仕留める。そこで発揮される特殊能力とは? 番組では、メンフクロウのヒナのルナとリリーを追い、その誕生から成鳥になるまでの軌跡をたどる。そしてこの2羽を育てるロイド･バックと妻のローズや科学者たちの力を借りて、フクロウの魔法のような特殊能力を明らかにする。

自然界には同じ種同士だけでなく、異種間で協力する生き物もいる。そんな共生関係にスポットを当てる。アジは大胆にも天敵のサメに体当たりして寄生虫を取り除く。ハゼはエビの巣に居候するが、お返しに見張り役もこなしている。通常カエルを捕食するタランチュラは、卵にたかるアリをカエルに退治してもらうときは食欲を我慢しボディーガードを務める。またウミヘビは全く異なる魚と結託して狩りをする。

地球上にいる数千種の武器を持つ動物たちの、武器の秘密に迫る。発情期のアメリカアカシカの雄は角をぶつけ合って競い、勝利者だけが雌と交尾できる。大きな角は毎年抜け落ちるため、体内の栄養素を多く費やし作り直さなければいけない。それでも子孫を残すことが何より大事だ。それは他の生き物も同じ。何百万年にも及ぶ進化の過程で、大きな武器を持つことが、子孫を残す一番の方法となっている。

キタシロサイ最後のオスとなったスーダンの物語。サイの角が薬になると信じられていることから密猟が横行した結果、野生のキタシロサイはふるさとの中央アフリカからいなくなってしまった。南スーダンで生まれたスーダンは、密猟は逃れたものの、1970年代に捕獲されて、チェコスロバキアの動物園へ移された。人工的な飼育環境のもとではなかなか繁殖が進まず、絶滅の危機が危惧されるなか、2009年、スーダンら四頭がケニアのオルペジェタ自然保護区へ移される。

巨大生物は様々な困難に遭いながらも、優れた進化を遂げ、生き延びてきた。シロナガスクジラやキリンは、食べ物を十分に得るために大きく進化した。大きな体はオーバーヒートしがち。オオスズメバチは大きな体のせいでミツバチに焼き殺されてしまう。オーストラリアオオコウモリも、大きな体を冷やすために苦労する。一方、寒い場所での苦労も。マオリクロギリスは自分の体を凍らせて、寒さを耐える。大きな体は水中のほうが動かしやすいため、海には巨大生物がたくさん。空には巨大な鳥もいる。アホウドリは驚くべき方法を使い、大きな体で飛ぶ。グレート･バリア･リーフは世界最大の“生きた構造物”。しかし温暖化により、危機に陥っている。我々は、巨大生物たちの未来のために何ができるか考えなければならないのだ。