ワイルド･マウンテン 荘厳なる峻嶺

「南米の背骨」と呼ばれるアンデス山脈。大陸を南北に走り、チリからベネズエラまで7カ国にまたがる。一口にアンデス山脈と言っても気候や地形は変化に富んでおり、動物もそれに応じてバラエティー豊かだ。南アンデスではピューマ、アタカマ砂漠の塩の平原に住むヤマイグアナ、中央アンデスではメガネグマ、氷河を生息地とするハジロジュウカチョウを追う。そして赤道付近の雲霧林は降雨量も多く気温も高いため、何万種もの生物がひしめく命の宝庫だ。

世界で最も高いヒマラヤ山脈。その過酷な自然の中で生きる動物と人々を追う。ウンナンシシバナザル、ユキヒョウ、フタコブラクダ、チベットオンセンヘビ、ハエトリグモ等の動物はヒマラヤの厳しい自然に適応するための特殊能力を持つ動物だ。一方、キクガシラコウモリのように、気象条件の影響を受けない洞窟の中で生きる動物もいる。ヒマラヤで暮らす人々にはチベット仏教の教えが浸透している。悟りを求め、洞窟の中で8カ月間独りで瞑想の修行をする僧侶がいる。僧院では、時間をかけて精巧な砂マンダラを製作し、完成するとすぐ壊す伝統儀式が続いている。村人たちは、大切な家畜を殺されても捕食者のユキヒョウを恨むことはない。命を尊重する仏教の教えが浸透しているのだ。

北米大陸を縦断するロッキー山脈。気候の変化が激しい高地では、タイミングをうまく捉えた動物だけが生き延びる。ビッグホーンは、年に一度の繁殖期にオス同士が激しく対決する。クズリは、真冬に凍死した動物を鋭い嗅覚で探しあてる。ピューマは捉えた獲物を他の動物から隠すため、農場の廃墟に引きずり込む。アメリカアカシカの子は、ハイイログマの目を避けるため、生後初日の夜をたった1匹で過ごす。サンショウウオは干上がる池の中で生き延びるために変態し共食いをする。アカフトオハチドリは、蜜を求めて広大なロッキー山脈の北端から南端まで旅する。