リリントン・プレイス エヴァンス事件

9年もの間、音信普通だった夫レッジからの手紙を受け取ったエセル。“やり直そう”という夫の言葉に二人はロンドンのリリントン・プレイスに移り住むことになる。警官としての仕事を得たレッジとエセルの生活は慎ましやかだが、幸せに満ちたものになるはずだった。だが、エセルはやがてレッジの別の顔に気付きはじめる。ある日、女性をめぐる口論からレッジから暴力を受けたエセルは兄も元に身を寄せるが、夫からの手紙でロンドンに戻る決意をする。そんな中、彼らの住むアパートに若い夫婦が引っ越してくるのだった・・・。

レッジたちの上の階にやってきたのは、ティムとベリルという若い夫婦だった。やがて二人の間には可愛い娘ジェラルディンが誕生する。ある日、ベリルが酒を飲んで帰宅をした際、事件が起こる。レッジがベリルに男の存在がいるとティムに告げたのだ。疑心暗鬼になるティムに追い打ちをかけるように、ベリルのお腹には新たな命が宿る。お金がないベリルは堕胎を考えるが、それに反対したティムとの間で諍いが起きてしまう。考えた末、二人は医師の心得があるというレッジに胎児の処置を頼むが、ティムが帰宅すると、そこには変わり果てたベリルの姿があった・・・。

警察の執拗な取り調べから、ベリルの死体遺棄を告白したティム。さらに裁判で、ティムが娘と妻を殺したと、レッジが証言台に立つ。なぜレッジが嘘をつくのかティムが分からないまま裁判は続き、彼への判決が下る。二人を殺害した真犯人がクリスティだと確信したティムだったが、もはや、その声は誰の耳にも届かなかった、一方、夫のためウソの証言をしたエセルもまた、罪の意識に苦しみ、レッジにその思いをぶつける。そしてある夜、彼女に悲劇が訪れてしまう・・・。