料亭「芳扇閣」の仲居・成沢民子は、半身不随になった元やくざの夫との生活に疲れ果てていました。民子は「芳扇閣」の客でホテル支配人と名乗る小滝と一夜をともにしたことから、小滝の指図に従って自宅に放火し、夫を焼き殺してしまいます。この焼死事件に不審を抱いた久恒刑事は、聞き込みに奔走します。民子は小滝に言われるままに久恒の追及を逃れ、政財界の黒幕・鬼頭浩太の世話係として、その屋敷に住み込みます。[FICT](C)NHK
民子は鬼頭邸に住み、鬼頭の慰み者としての日々を送っていました。鬼頭邸には、女執事の米子や得体の知れない男が一緒に住んでいます。鬼頭に気に入られた民子は、ただ従うだけでなく、あやしい魅力を放つしたたかな女に成長します。久恒刑事の執ような捜査が続く一方、民子は「芳扇閣」で小滝と逢瀬(おうせ)を重ね、彼への愛に目覚めていきます。そんな中、小滝が支配人を務めるホテルを中心に、相次いで殺人事件が起こります。[FICT](C)NHK
鬼頭邸を内偵していた久恒刑事が警察をクビになり、これまでに調べた情報を新聞社に持ち込んだために殺されてしまいます。一方、民子の小滝への愛はますます募りますが、鬼頭は外出を許してくれません。ある日、その鬼頭が食中毒で倒れます。誰かが毒を盛ったに違いなく、食事を用意していた女執事の米子に疑いがかかります。さらに民子の身にも危険が迫っていました。しかし、彼女の命を狙っていたのは意外にも…。[FICT](C)NHK