東北の小藩の夏。郡奉行の牧文四郎は、前藩主の側室で初恋の女性・ふくと20年ぶりに再会し、波乱の青春を振り返ります。下級武士の子・文四郎は、隣家の娘・ふくと淡い恋を育てていました。文四郎が18歳の秋、城下を洪水が襲いました。義父の牧助左衛門が農民のために懸命に働く姿を見て、文四郎は父のようになりたいと心に誓います。しかし、助左衛門は世継ぎ争いに加担した罪で捕らえられてしまいます。[TAIG](C)NHK
父の助左衛門が切腹と決まりました。文四郎は最後の別れに臨み、「わしを恥じてはならん」という父の言葉を胸に刻みます。翌日、父の遺体を荷車で引き取りに行くと、ふくが駆けつけてくれ、二人で蟻(あり)のように黙々と荷車を引きました。家禄(かろく)は減らされ、文四郎は母の登世と長屋に転居します。ある日、ふくが江戸に奉公に出る前にあいさつに訪ねて来ますが、折あしく文四郎は不在で、会えぬまま旅立ってしまいます。[TAIG](C)NHK
1年半後、父に切腹を命じた主席家老の里村が、文四郎の処分を解きました。家禄(かろく)が元に戻され、出仕はまだでしたが郡奉行支配・山村見回りとなります。文四郎は母・登世と喜びに浸ります。一方、江戸の藩邸に奉公に出ていたふくは、藩主の手が付いて身ごもりますが、世継ぎ争いの陰謀で流産します。文四郎は道場主の石栗弥左衛門から、秋の奉納試合に勝てば、秘剣村雨の技を授けると伝えられます。[TAIG](C)NHK
奉納試合に見事に勝ち、文四郎は秘剣村雨の技を伝授されます。父の非業の死から4年、ようやく山村見回りとして働き始めた文四郎は、そこで父の事件の真相を知ります。父は代官の不正を糾(ただ)そうとして、切腹させられたのです。一方、再び藩主の御子を身ごもったふくは国元へ帰り、欅(けやき)御殿でひそかに出産します。しかし、主席家老の里村一派が母子の命を狙っていました。その里村から文四郎は呼び出されて…。[TAIG](C)NHK
文四郎は主席家老の里村から、横山派の陰謀から守るために、欅(けやき)御殿から藩主の御子をさらって来いと命じられます。それは明らかに罠(わな)だと考えた文四郎は、ふくと御子の命を救うために、生涯の友・小和田逸平らとともに欅御殿に向かいました。文四郎らは、ふくと御子を村役人・藤次郎の家に逃がして、ふくの警護役・磯貝主計とともに、乱入する里村派の賊に立ち向かいます…。[TAIG](C)NHK
文四郎は最強の敵・犬飼兵馬を「秘剣村雨」の技で倒しました。村役人の家でふくと合流した後、文四郎一人がふくと御子に付き添い、舟で城下に逃れます。そして、里村派と対抗する家老の横山のもとに身を寄せ、文四郎は里村派の陰謀のすべてを語りました。ふくと別れた文四郎は、家老・里村の屋敷に向かっていました。死者に代わって、里村を諫(いさ)めるためでした。[TAIG](C)NHK