シーズン1、エピソード3: みちのくの白妙城です。その上を大きな鶴が飛んでいます。家来たちが見上げています。「あれは10年前に、お姫さま誕生のときにみた鶴だ」と精助(久野四郎)が言います。「とするとまたおめでたいことでもあるのだろうか」と他の家来が言います。そこへ姫があらわれました。「精助、鶴はどこにいるの?」「それが、今や飛び去りましてございます」姫は空を見上げてつぶやきます。「鶴のおばさん・・・」と。姫は鶴が神さまの使いの「鶴のおばさん」であると知っています。精助はけげんな顔で聞きとがめます。「今、なんとおっしゃられました?」 「いいや、何も言わないわ」と姫はいいます。精助たちは下がります。姫が奥女中のみどりともう一度空を見上げます。すると満月を横切るように鶴が飛んでいきます。どこへ向かっているのでしょうか。鶴のおばさんはぽん吉のところにも飛んでいくに違いありません。姫はみどりにたずねます。「鶴はどちらの方向へ向かったのかしら」「さあ、江戸のほうでしょうか」とみどりは答えます。江戸!江戸にぽん吉お兄ちゃんはいるのかしら。姫は「江戸は遠いの」とみどりに聞きます。80里も離れています。大人の足で10日、いや12,3日かしらとみどりは答えます。ああ、そんなに遠いのね・・と姫はがっかりします。姫は「気にかかることがあるのよ」と悲しげにつぶやきます。みどりはそれを聞いて大殿に話します。姫は元気がない。大殿と奥方は心配になっています。 夜になって、姫は独り、お庭で歌を歌います。 ♪お山のどんぐりちゃん(作詞川内康範 作曲小川寛興) おやまのおやまのその奥の 森でうまれたどんぐりちゃん あにといもうとの仲良しが 風にふかれてころころ お山をくだって ころころ どこへゆくのか ころころ いつか分かれてころころ ころころころころ 離れ離れでさみしいな 姫は歌い終わると夜空にむかって「おにいちゃーん」と叫びました。 一方、その頃、ぽん吉は江戸でぽん子のことを思っていました。妹のぽん子が初夢姫として暮らしていることも知りません。また魚徳に拾われた自分の、本当の父への気持ちも募ります。折しも、実の父、弓矢折太郎(根元嘉也)が通りかかりました。弓矢はぽん吉の顔をみて、「どこかで見たような」とつぶやきます。
