
シーズン1、エピソード6: スティーヴン・スピルバーグは“ジュラシック・パーク”をフィル・ティペットのストップモーションによるミニチュア恐竜を使って撮影するつもりだった。しかしスティーヴ・ウィリアムズは密かにCGでティラノサウルスの骨格作成を進める。ミューレンはCGのクリーチャーを大作に使うのは時期尚早だと考えていたが、ウィリアムズが歩く恐竜の骨格をモニターに映しておき、プロデューサーのキャスリーン・ケネディの目にとまるよう画策。ミューレンも考えを変えて、スピルバーグ用にテスト映像を作るよう提案する。 完成したCG版ティラノサウルスが初めてスクリーンに映し出された時、試写に出席した誰もが世界は一変すると確信した。スピルバーグは「宗教的な体験」「すべてが変わると理解した」と表現する。 自分の作品となるはずの映画がCGに奪われ去るのを愕然と見ているしかなかったフィル・ティペットは「おしまいだと思った」と回想する。しかしスピルバーグとミューレンはティペットを解職する気などなく、クリーチャーの動きに関する博識ぶりをぜひ生かしてもらいたいと思っていた。 CGによる画期的な動きが“ジュラシック・パーク”で証明されると、以降の業界は急速に変化していった。雇用を大幅に拡大したILMには世界中から才能が集まってきた。そして待ちに待ったルーカスは、長らく温めてきた“スター・ウォーズ”前日譚三部作を作るための要素が遂にそろったと考える。ジョージは新たなデジタル・ツールを最大限かつそれ以上に活用しようと要望を出すが、視覚効果監修ノールにしてみれば「無謀なことをやれと言われた」と感じるほどだった。 ジョージはデジタル化を業界全体にまで広めようと試み続け、企業にはデジタルカメラやデジタル映写機を開発するよう促した。当初、激しい反発を受けながらもジョージの徹底した説得は実り、変化は徐々に受け入れられていく。ILMが国家技術賞を授与されると、評価は更に高まった。 デジタルによる映画制作は21世紀に突入。「ただ魔法をかけただけでは陳腐になる」とILMチーフ・クリエイティブ・オフィサーのロブ・ブレダウは言う。CGを懐疑的に見ていたと言う映画監督ジョン・ファヴローは、アイアンマンのスーツが実物かCGか見分けがつかなくなった時、信者に転向した。バリー・ジェンキンズは自分の監督作“地下鉄道~自由への旅路~”シリーズで、ILM制作の“完全に溶け込んだ”視覚効果を多く取り入れたのに、人々が視覚効果のない映画だと思っている事実に苦笑いする。 革新は続き、“マンダロリアン”の制作では“ボリューム”というシステムが生み出される。高速ビデオカードとモーションキャプチャー技術により、ボタン1つでその表面に数々のロケーションを映し出すことが可能な巨大スクリーンだ。 過去と未来に目を向けていた元祖“スター・ウォーズ”のスタッフによる強大な遺産は“マンダロリアン”でも生き続けている。その証拠がジョン・グッドソンによるレイザー・クレストの実物模型、そしてILMの地下室においてジョン・ノールの肝いりで続けられていたモーションコントロール装置だ。そして今、旅路は完全な円を成す。新旧の技術者たちが深い絆と変革の精神、そしてILMの魔法を祝いつつシリーズは幕を閉じる。