盗っ人
シーズン1、エピソード1: 廻り髪結いの伊三次は、十二歳で両親に死に別れ、世間の荒波にもまれながら生きてきた。髪結いの腕は抜群で、いまでは八丁堀の同心不破友之進はじめ、ひいきの客も大勢いた。伊三次には夢がある。髪結床屋の株を買って店を持ち、恋仲の芸者文吉と所帯を持つことだった。そのために爪に灯をともすような暮らしをして金を貯め、三十両を長屋の古畳の下に隠していた。大晦日である。文吉を訪ねて夢を打ち明けた伊三次は、長屋に帰って、金が盗まれているのに気がついた。

シーズン1、エピソード1: 廻り髪結いの伊三次は、十二歳で両親に死に別れ、世間の荒波にもまれながら生きてきた。髪結いの腕は抜群で、いまでは八丁堀の同心不破友之進はじめ、ひいきの客も大勢いた。伊三次には夢がある。髪結床屋の株を買って店を持ち、恋仲の芸者文吉と所帯を持つことだった。そのために爪に灯をともすような暮らしをして金を貯め、三十両を長屋の古畳の下に隠していた。大晦日である。文吉を訪ねて夢を打ち明けた伊三次は、長屋に帰って、金が盗まれているのに気がついた。