S1, E1: 話: 幕末の京都を舞台に、行方不明の父を探す少女・雪村千鶴が、血に飢えた異形の者「羅刹」と、それを斬る新選組の隊士たちに出会う「薄桜鬼」シリーズ。奇妙な縁で新選組と行動を共にすることになった千鶴が父を探す中で、自らを“鬼”と名乗る謎の剣士たちが現れる。 「ミュージカル『薄桜鬼 真改』山南敬助 篇」は、新選組の中でいち早く羅刹となり、望まぬ形で集団からはみ出しながらも自分だけのやり方で「誠」を貫いてきた山南敬助に焦点を当てた物語である。舞台は山南が苦悶の表情で床を這いずる衝撃的な幕開けから始まり、ダークファンタジーの要素が強く描かれる。これまでのシリーズでは狂気を強く滲ませるキャラクターとして描かれてきた山南が、本作では圧倒的な歌唱力と抑制の効いた感情、そして深い愛情と情熱、信念を内包した、より真っ直ぐでスタイリッシュな姿で魅せる。千鶴はそんな山南を誰よりも理解し、しなやかな愛情で鼓舞し続ける。新選組の活躍の裏で暗躍していた山南が主軸となるため、千鶴と生き別れの双子の兄・南雲薫との因縁、山南と藤堂平助との友情の深さ、羅刹に対して抱く土方歳三の思いなど、これまでの「薄ミュ」とは異なる視点でのストーリー展開が特徴である。羅刹という存在自体への興味も含め、「あの物語の裏でこんなことが起こっていたとは!」という驚きと納得が連続し、「薄桜鬼」というドラマの多面的な魅力が味わえる作品となっている。劇中では「光」と「闇」というキーワードが繰り返し登場し、視覚的にもコントラストの効いた照明や色のインパクトで強く印象づけられる。
