シーズン1、エピソード1: 話: ここは地獄の十万億土、亡者の群れがそれぞれ額に白い三角頭巾、首からは頭陀袋、手には麻幹(おがら)の杖をついて、三途川の渡船場を目指してトボトボと歩いています。その後からやってくるのは打って変わって派手で陽気な一団、大金持ちの若旦那とその取り巻き連中です。この世で面白いことはすべてやりつくし、あの世に行って遊んで来ようと“あの世観光旅行”を企画し、フグを食べてわざわざ死んできたのです。彼らは鬼の船頭の渡し舟に乗って無事に三途川を渡ると、地獄一の繁華街「六道の辻」に来ます。タレントショップが立ち並び、芥川龍之介や三島由紀夫が講演をし、初代から11代までの市川団十郎が全員で忠臣蔵をやり、寄席では三遊亭円朝が『牡丹燈篭』を通しでかけています。 この噺は大きく前半と後半に分かれ、まずサバの刺身を食べて食当たりで死んだ喜六が、冥土への旅路で先に亡くなった伊勢屋のご隠居と再会するところから始まります。二人の次に芸者や舞妓・仲居や幇間を引き連れた若旦那の一行が現れ、賽の河原、三途の川渡り、六道の辻、閻魔の庁などおなじみの地獄の風景が、登場人物が入れ替わりつつ描写されます。最初に登場する喜六の他、居並ぶ一同に閻魔大王の裁定が下される所までがだいたい前半です。
