赤い闇
S1, E4: 北町奉行所同心、不破友之進のところに、同僚の村雨弥十郎が相談に来た。最近多発している、付け火と思われる火事が、妻ゆきの仕業ではないかと言うのだ。事実ならゆきは死罪。村雨家が断絶になるのは確実だった。村雨は家でよく書き物をする。その時出る反故紙をゆきは庭で燃やした。炎に見入るゆきの目は陶然として、その姿には鬼気迫るものがあった。伊三次も、火事現場で炎に見入るゆきを見たことがある。美人だけに凄味があった。村雨家には舅、姑、それに男三人、女三人の子供がいた。ゆきは町医者の娘だった。身分違いの縁談がまとまったのはゆきが美しかったからだが、村雨家のなかでのゆきの立場は低かった。村雨はまじめ一方の男で、ゆきの支えにはならず、ゆきは孤独だった。
