邦題から受ける感じでは、日本人が大活躍しそうだが、そもそも日本人は登場しない。左手の無いトレーシーが、カッコいいカラテの型を見せる異色のサスペンスである。舞台は40年代後半だが、ほとんど気分は西部劇である。モダンな特急列車が臨時停車する。降り立つのは、イタリア戦線で戦死した兵士(これが日系二世)への勲章を、その父親に渡すためにやってきたかつての上官。その兵士は彼を救けようとして、犠牲となったのである。が、目的の父親は、既に、日本人を憎悪する町のボスたちのリンチによって死んでいた......。収容所問題など、日系人差別の問題が近年またクローズ・アップされているが、本編はその最初の、映画による告発として貴重である。スタージェスの、少し物足りないくらいのタイトな演出も快い。

出演 スペンサー・トレイシー, ロバート・ライアン, アン・フランシス
監督 ジョン·スタージェス