ニーナは郊外の小さな学校で音楽教師をしていたが、外国で新しい生活を始めるという希望を持っていた。すべては親友の頼みごとから始まった。両親の留守中に老犬オメロの面倒を見てくれと言うのだ。頼みを引き受けたニーナは、ローマ郊外、近代的な街並の続くエウル(※)にある家で暮らすことになった。ナポリ生まれの研究者デ・ルーカ教授、風変わりな子供管理人エットレ、犬のオメロ、そして偶然出会ったチェリストのファブリツィオ。まぶしい光と薄暮のエウル。街角のカフェとお洒落なケーキ屋。彼女の奇妙なひと夏は、さまざまな出会いにより、魔法のように輝くことになる・・。※エウル EUR (フルネームはEspsizione Universale di Rome(ローマ万国博覧会という意味))イタリアのローマ近郊に、ローマ万国博覧会(1942年開催予定だったが第二次世界大戦により中止)会場として、1930年代から建設された新都心地域。ローマの他の地域とは全く異なる街である。
