『ビフォア･ザ･レイン』は三部で構成されている。それらは、舞台をマケドニアからロンドンへ、さらにもう一度マケドニアへと巧みに移動し、登場人物を交錯させ、繋がりながら最後には映画全体がメビウスの輪の如くねじれた循環構造になっている。■第一部「言葉」…マケドニアの美しい山岳地帯。若い僧キリル (グレゴワール･コラン) と、修道院に逃げ込んだ敵対民族アルバニア人少女ザミラ (ラビナ･ミテフスカ) の恋。■第二部「顔」…ロンドンの出版社で働く女性編集者アン (カトリン･カートリッジ)。夫の子どもを妊娠しているアンだが…。■第三部「写真」…マケドニア出身の戦場キャメラマンのアレックス (レード･セルベッジア) は、ロンドンでの生活も地位も名誉も捨てて故郷へと帰るが、そこは民族紛争で荒れ果て、人々は銃で武装していた。