
ノルウェー・オーレスン。アスタはこの町で、再び動き出そうとしていた。病気療養のため、記者の仕事からしばらく離れていたが、臨時雇いながら復帰も決まった。カンならそのうち取り戻せる、アスタは自分をそう信じ、かつての職場に戻っていった。アスタが一緒に暮らすのは、小さな猫一匹と、自宅を職場に古くなった椅子のリペアを手掛ける最愛のパートナー、ライブ。ライブとの穏やかでゆったりと過ごす時間は、今のアスタにとって何より大切なひと時だ。記者としてアスタが担当するのは、市内で起こるささやかな出来事や小さなトラブル。自宅に戻れば、ライブと二人だけのリラックスした時間。静かに戻りつつあるアスタの日常。ある日、ライブは新聞に掲載されていた記事に目を留める。その内容が気になったアスタは翌日、記事を担当した記者に連絡をとる。わかったのは強制送還された彼の名はアスラン、そして勤めていた水産加工工場の連絡先…。