
沖縄の小さな港町・多満里。一人の男がホテル“フリーイン”に車を止めた。40歳前後の一見うらぶれた感じのする男・新藤。彼は旧友・坂口がこの町の再開発を企てている下山建設の社長に刃物で襲いかかって逮捕された、という新聞記事を読んで、はるばるやって来たのだった。フリーインはその坂口が経営するホテルで、彼は下山建設の大規模な買収に応じず、執拗ないやがらせや脅迫にも屈しなかった。その坂口を逮捕したのは下山建設と癒着している徳田刑事だ。新藤は坂口の一人息子・竜太と連れだって、坂口にレモンを差し入れた。フリーインは、フロント係・小宮が坂口の留守をあずかり、それに町のクラブ“KENDO”を経営する坂口の愛人・志摩とそこで働く時枝、静子、留美、冴子が住みついていた。新藤は事件の真相を探るべく単独で動きだした。