すべてを失った時、ひとは初めて自由になれる。 一流商社に勤務する、エリート・ビジネスマン早坂幸平。彼は出張で訪れたフィリピンで、冤罪で逮捕される。問答無用で現地の刑務所に収容された彼がそこで見たものは、肩書や日本人的尺度のまったく通用しないアジアの混沌、犯罪者たちの巣窟だった。 会社や妻からも見捨てられた幸平は、何もかも失ってしまう。だが、この世の最底辺のような獄中でも、タフにそしてラフに生きているツワモノの日本人囚人たちがいた。そのボスは刑務所長と共謀して、麻薬売買で金儲けさえ行っている始末。やがて幸平は、ここが心のやすらぐ真の場所、ずっと求めていたパラダイスだったことに気がつく。そして、お互いを騙しあい裏切りあいながら、彼らは「天国から来た男たち」と呼ばれることになる……。