
彩子 (山本富士子) は芦屋に住んでおり、夫の門田礼一郎 (佐田啓二) は、学位をとるために京都の大学の内科で研究中だった。ある日、少女を連れた若い女が彩子に面会を求めてきた。「私が産んだこの子、門田さんの子」というなり少女を置いて去ってしまった。彩子は離婚を決意したが、入婿の礼一郎は「君の気持ちが直るまでいつまでも待つ」と言った。少女・薔子 (鰐淵晴子) を彩子が育てることになったある日、従妹みどり (岡田茉莉子) の夫・三杉穰介 (佐分利信) が訪れてきた。彼はみどりと愛情のない形だけの生活を送っていた。やがて、彩子は穰介の虜となった。二人は世間の人を一生だまし通そうと誓い合った。そして、八年の歳月が流れた。穰介と彩子は背徳のかげにおびえながら情事を続けていた。