
シナリオ講座を受講する1人の中年男・譲治(43)。周りの受講生が20代中盤のなか、少しだけ目立つ存在である。譲治は半年前、妻の浮気が原因で離婚して13歳になる娘とも別れたばかりだった。ある日の夜、譲治はシナリオ講座を終えた仲間たちと飲みに行ったバーでナオミ(27)という美しい女性と出会う。ナオミは女優をしながらバーでアルバイトしていると言う。譲治のことをシナリオ講座の講師だと勘違いしたナオミは「先生」と呼ぶが、譲治はすぐにそれを打ち消して43歳のバツイチでアルバイト生活をしていることや長い間脚本家としての芽が出ないことをナオミに正直に話した。ナオミはその話をきいても「続けているなんてカッコいいです」と言って譲治を熱く見つめる。シナリオ講座の仲間には秘密でナオミと付き合うことになった譲治。ナオミは譲治より16歳年下で父親を求める幼い子供のように譲治に甘えたり駄々をこねたりしたが、譲治はそれもまた愛おしく感じた。ある時、軽い口喧嘩からナオミが家に戻らない日があった。心配して探しに出る譲治。ナオミの働くバーにナオミは不在でその代わりナオミの元いた劇団仲間が集っていた。元劇団仲間は譲治がナオミの恋人と知りながら、ナオミの男癖のせいで劇団が解散寸前まで追いやられたという話を聞かせる。譲治はナオミの知らなかった一面を知り驚くと同時に、自分がナオミという女性の素性や本質をまだ何も知らないことに気づかされる。意気消沈の状態で帰宅するとナオミがソファですやすやと眠っている。ナオミが他の男たちと関係を持つ想像をした自分が馬鹿だったと思いなおそうとするが、ナオミの服のポケットから睡眠薬のパッケージが見つかる。まさかとは思ったがそれはシナリオ講座で一緒の直樹(27)が自慢げに見せびらかしていた薬と同じだった。そして譲治のナオミへの疑念はある日、決定的なものとなり…。