茂樹は10歳の頃、自分の部屋を初めてもらう。父親に買って貰った天体望遠鏡を覗くと、弥生という少女が見えた。茂樹は一瞬にして彼女に心を奪われ、弥生を見続けた。茂樹の「観察」は大人になっても続いた。茂樹は誰も傷つける事なく、自分も傷つかないように静かに暮らしている。元同僚の美咲と愛のない結婚をし、子供も一人生まれて家庭は順調だった。そして、弥生も結婚して娘が一人いる。それでも尚、茂樹は依然と弥生を見続ける。「自分の部屋」を確保し、家族には秘密にしたままで。だが、そんな茂樹の平和な家庭にも終わりが訪れる。長年に渡り弥生を覗いていた事が美咲に見つかり、茂樹は一人になった。そんなある日、弥生から荷物が届いた。その中には、弥生の心が入っていた。そして茂樹は全てを知る、自分の愛の本当の意味を…
