印刷工として働きながら、自分の恋愛体験を小説にまとめ出版したアントワーヌは、長らく別居を続けていた妻クリスティーヌといよいよ(フランス初という)協議離婚をした。妻が引き取る息子アルフォンスを音楽学院の合宿にやるため、駅まで見送りに来た彼は、反対ホームの列車に「二十歳の恋」で描かれた昔の恋人コレット(ピジェ)を見かけ、思わず飛び乗って、彼女と昔話に花を咲かせ、現在の互いの身の上を語り合う。彼にはレコード店に勤める恋人サビーヌがいたが、妻子のことがネックとなってうまく行っていない。弁護士のコレットは書店主のグザビエに片想い中。法廷でみかけたアントワーヌの小説をちょうどそこで買って目を通していた所だった。小説の創作部分の話がこじれ、彼女に昔と変わらぬ“煮え切らなさ”を指弾されたアントワーヌはいたたまれず、列車を急停車させ闇の中に消えていった。彼は“運命の恋人”サビーヌだけは逃してはならないと、彼女にずっと明かさずにいた“秘密”を携えて、その部屋を訪れる……。