岡山県・美作の緑豊かな山々のふもと。浪人の渓哉は無気力な日々を過ごしていた。一方、家業の茶葉屋を継いだ兄の淳也は、日本茶の魅力で町を盛り上げようと尽力していた。かつて野球に捧げた情熱は燃え尽き、勉強にも身が入らずにいたある日、ピアニストの里香がコンサートツアーでやって来ることを知った渓哉。里香はかつて兄の淳也が東京での大学時代に交際していた元恋人だった。コンサート会場の客席で渓哉が見守る中、舞台上で倒れてしまった里香。療養を兼ねてしばらく美作に滞在することになった里香を、渓哉は自宅の空き部屋に招待する。こうして少し風変わりな共同生活が始まった。清らかに流れる川を吹き抜ける風、燃えるような緑の美しい茶畑。自然の優しさに囲まれて曲作りに励む里香に、ほのかな恋心を募らせる渓哉。しかし里香にはどうしてもこの場所に来なければならない理由があった……。