日本中が日韓W杯の喧騒に沸いた2002年夏、一人の大学生が見学客もメディアもほとんどいないJ2･川崎フロンターレの練習に参加していた。「この子が本当にプロサッカー選手を目指すのか?」と多くのスタッフが心配するほど華奢な体格。一方で、迎え入れた川崎フロンターレも当時はJ2に所属、「スポーツ不毛の街」と呼ばれた川崎市で人気、実力ともに低迷し苦しんでいた。「絶対に欲しいという選手ではないが、有望な選手は他の有名クラブが獲得してしまう」という理由で獲得が決まった。無名で華奢なサッカー選手と、ホームタウンからの応援も少ない小さなサッカークラブが、いかにして日本を代表する存在にまで成長していくのか。川崎市麻生区の静かなサッカーグラウンドから始まった、18年の物語。