エピソード1
男子厨房に入る
大手広告会社で働く山村和之(阿部寛)は、夕暮れ迫る住宅街で、感慨深く立っていた。念願のマイホームを手に入れたのだ。そのマイホームの中に入った和之は、満ち足りた気分で床に寝そべった。「あっ、パパ来てる」。玄関のドアが開くと同時に、6歳になる娘の理絵(安藤咲良)と妻の美紀(篠原涼子)が現れた。「お庭見ようか」。美紀が理絵と庭に出ると、隣りの杉尾家のご主人と目があった。 杉尾家では、早速新しいお隣りさんの話題となった。「奥さん美人?」「別に」。妻の笙子(中島知子)に聞かれて夫の優介(宮迫博之)ははぐらかした。夫婦には理絵と同じ年の幼稚園に通う息子、亮太(吉川史樹)がいる。ごく普通の家庭に見えるが、一つだけ変わったところがある。この夫婦、笙子がキャリアウーマンとして稼いで、優介は家事すべてをこなす『専業主夫』なのだ。 山村家の引っ越し当日。和之は急に会社に呼び出されたので、美紀は目の回るような忙しさ。杉尾家の3人が声をかけてくれ、互いに好印象をもってしゃべっていると、「あら、こんにちは」と馴れ馴れしい女の声が聞こえた。岩崎真理江(川島なお美)は息子と水泳教室の帰りらしい。「よろしくお願いします」。美紀が挨拶のクッキーを差し出すと、真理江は「形に残るものがいいのよ」と皮肉をひとくさり。お菓子の講習会を口実に、美紀はなかば強引に真理江の自宅に招かれてしまった。
52分 · 2004年4月13日
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