ウィッチャーの事件簿

1860年6月。のどかな村にある“ロード･ヒル･ハウス”の敷地内で、この屋敷の主人サミュエル･ケントの3歳になる息子サヴィルの遺体が発見された。屋敷には厳重に施錠がなされていたため、疑われたのは家族と使用人たちだった。

ある夜ウィッチャーは、エンジェル通りにある場末の酒場でスーザン･スペンサー婦人と出会う。一目で酒場の雰囲気と場違いな彼女は、行方不明になっている16歳の姪メアリ･ドリューを捜していた。捜索を請け負ったウィッチャーだったが、間もなくメアリは変わり果てた死体となって発見される。

インド大反乱の混乱期に大尉として現地で戦ったチャールズは妻子とともにロンドンに戻ったが、何者かが彼の屋敷に侵入し、妻と幼い子供たちを恐怖に陥れた。暴漢の捜索を依頼されたウィッチャーは、インドでの出来事や家族にまつわる秘密を打ち明けられる。驚いたことに暴漢はインドからチャールズを追ってきたというのだ。ウィッチャーが捜索を始めて間もなく、暴漢は変わり果てた姿で発見される。

イギリス南西部のウィルトシャーに屋敷を持つヘンリー卿から、妻のジェーンの浮気を探るよう依頼を受けたウィッチャーは、ロンドンに現れた夫人を尾行し、若くハンサムな不倫相手ソログッドとの密会現場を押さえた。離婚訴訟に必要な証拠を手に入れたヘンリー卿は裁判を起こすが、裁判当日、重要な証人でもあるソログッドは裁判所に現れなかった。