グレタ･トゥーンベリ 世界を変えるメッセージ

15歳の時、たった1人で始めた抗議活動が世間の注目を集め、今や世界一有名な環境活動家となったグレタ･トゥーンベリ。2019年、彼女は気候変動の影響を視察するため長い旅に出る。溶けゆく氷河や増加する山火事などの危機的状況について当事者から話を聞き、知見を深めるグレタ。語気の強いスピーチのせいで攻撃的なイメージを持たれがちだが、本当は違うと言う。グレタは彼女自身の言葉ではなく、科学的事実に注目してほしいと願っていた。危険な冬の大西洋をヨットで横断し、再び国連でスピーチの壇上に立ったグレタは、冷静な語り口で人々に科学的事実を訴える。彼女の願いは、果たして届くのだろうか。

2019年のクリスマス休暇を終えたグレタは、再び気候変動との闘いの旅に出る。北極圏では温暖化の被害を受けるサーミ族に話を聞き、ポーランドでは失業した炭鉱労働者たちと面会。気候変動のさまざまな側面を学んだ。スイスでは世界経済フォーラムの年次総会に出席しスピーチを行うが、周囲は彼女とトランプ大統領の対立関係だけに注目し、グレタのメッセージなど聞いてはくれなかった。ショックを受けるグレタだが、次に訪れたイギリスでは、温暖化抑制の新技術や、市民活動により環境破壊を防いだ実例を目の当たりにする。グレタは長期的な目線で気候変動に取り組むことを決意し、行動を起こすことの大切さを改めて実感するのだった。

休学期間は残り半年となった。グレタはさまざまな温暖化対策技術を視察し、欧州議会でスピーチを行う。しかし直後に新型コロナウイルスのパンデミックが起こり、旅は中断。グレタはSNS上で活動を続けるが、人々の関心はパンデミックに注がれ、気候変動問題は忘れられつつあった。危機感を覚えたグレタはドイツのメルケル首相と対談し社会の関心を取り戻そうとするが、思うような成果は上がらない。パリ協定の順守が現実的に難しい中で、妥協が必要だという声もあった。さまざまな思いを抱え、グレタは休学期間を終えて学生生活に復帰する。信念のために闘い続けることが、自分の希望だという言葉を残して。