文明と信仰の源・桃源郷(とうげんきょう)。そこは人と妖怪とが共存を果たす平和と安穏の地。しかし、大妖怪「牛魔王(ぎゅうまおう)」の蘇生実験によって世界のバランスが崩され、突如妖怪の狂暴化が始まった。事態を重く見た天界より、「玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)」に命が下される。「過去を共にした三人を連れ、牛魔王復活を阻止せよ」と。妖怪でありながら負の波動に侵されない三人、「孫悟空(そんごくう)」、「沙悟浄(さごじょう)」、「猪八戒(ちょはっかい)」とともに、遥かなる西域「天竺国(てんじくこく)」を目指す旅が始まる。
天竺国「吠登城(ほうとうじょう)」では、呪縛によって封印された母「羅刹女(らせつにょ)」を救うことを心に固く誓う「紅孩児(こうがいじ)」の姿があった。一方、茄陳(コーチン)の町にたどり着いた三蔵一行は、料理上手な娘「朋茗(ほうめい)」の父親が経営する宿に泊まることになる。その晩、同じ宿に旅芸人の一座だという団体客が泊まることになるが、その一座は実は、紅孩児が放った刺客の妖怪たちだった。
山奥にある大きな寺に、一晩、止めてもらうことになる三蔵一行。由緒正しく、信仰心の厚いこの寺では、修業と精進を重んじ、禁酒禁煙、色即是空の生活を送っていた。ところが三蔵たちは、いつもの調子で酒は飲むわタバコは吸うわで寺の僧たちは呆れ顔。そんな時、三蔵一行を追って刺客の妖怪がやってきた。だがこれまで、妖怪や悪漢の襲撃を受けたことのないこの寺では、殺傷を禁ずる教えから武器になるようなものは何ひとつ置いていない。僧たちは抵抗もできずただ襲われるだけとなり……。
旅を続ける三蔵一行は、ひょんなことで「旬麗(しゅんれい)」という娘の家に立ち寄る。旬麗は、一年ほど前に姿を消した恋人の妖怪を信じて待ち続け、いつ彼が帰ってきてもいいように、毎日、洗濯と掃除をかかさずに過ごしていた。その恋人「慈燕(じえん)」の名を聞いた途端、悟浄の顔色が変わる。実は悟浄の生き別れの義兄の名も「慈燕」と言うのだ。そんなとき、西の森で人間を襲った妖怪が慈燕によく似ていたと聞いた旬麗は、脇目もふらずに家を飛び出してしまう。
三蔵一行抹殺にてこずる紅孩児に、直属の部下「八百鼡(やおね)」が自ら出撃を申し入れる。八百鼡はかつて、残忍な「百眼魔王(ひゃくがんまおう)」の手から、紅孩児に救ってもらった恩があった。薬師である八百鼡は、三蔵一行が立ち寄るであろう飲食店に先回りし、訪れた一行に毒を盛ろうとするが、店の客にからまれたところを一行に助けてもらったことで決心は揺らいでしまう。それでも紅孩児の役に立ちたいと考える八百鼡は…。
雨に降られた三蔵一行は、宿に向かう途中、どんな妖怪でも倒してしまう札使いの法力僧「六道(りくどう)」に倒された妖怪たちの死体に出くわす。その日の夜中、宿の厨房に妖怪が入り込む。戦う三蔵一行。その前に、六道が姿を現すが、それは三蔵のかつての兄弟子「朱泱(しゅうえい)」の変わり果てた姿だった。
デヴィッド・マトランガ
声の出演
グレッグ・エアーズ
イリイチ・グアルディオラ
Braden Hunt
Cho Hakkai