…十二年前の金山寺焼失から四年後、屍のごとき玄奘三蔵が三仏神に拝謁すべく斜陽殿に赴いた。聖天経文の手掛かりを求めての事であったが、三仏神より新たな命を与えられ、慶雲院を逗留先とする。その地で大僧正待覚と出会うが、再び出立を決めた夜更け、三蔵の命を狙う野党が慶雲院を襲撃した…。
『−声が、聞こえる。』五百年も前から封印されているという化け物を探して五行山に登った三蔵は、その声の主である一人の子供と出会う。彼を連れて下山し、密かに慶雲院に住まわせる三蔵だったが、三仏神より、その子供こそ神にも等しい力を持つ伝説の妖、“混沌の象徴”「斉天大聖孫悟空」であると聞かされる。…その晩、僧侶に発見された悟空は追い詰められていた。
人間でも妖怪でもない、異端なる存在同士の悟浄と八戒。偶然出会った二人は、八戒の怪我が治るまで生活を共にする。そこへ一年ぶりに悟浄の昔の仲間、鷭里が現われ、悟浄に窃盗団と手を組む誘いを持ちかける。数日後、組織を裏切り囚われた鷭里は、最後の一仕事として寺院へ盗みに入る間、人質になってくれと悟浄に頼むのだが…。