ルポライター、一ノ瀬は、出版社に勤める彼の良き理解者である星野の協力を得て、積年の夢である著書の出版を果たす。しかし、喜びも束の間…ある事件をきっかけに一ノ瀬の中から「書く」という意欲が完全に失われてしまう。時を同じくして星野も自分の夢を果たすべく、忽然とカナダ･ユーコン準州へと旅立ってしまう。

久しぶりに星野と再会した一ノ瀬。カナダ･ユーコン準州という広大な自然に囲まれたこの地と、そこに流れるゆっくりとした時間を星野と過す中で、一ノ瀬は自分の心が徐々に安らいでいくのを感じる。そんなある日、星野は一ノ瀬にある提案をする。

ユーコンでの自分の価値観や環境とは全く違う人々との出会いはとても新鮮で、一ノ瀬は「書く」という意欲を徐々に取り戻す。そんな中、彼は書けなくなった11年を回想しながら自分が長くしまいこんでいた「大事な心の記憶」を呼び覚ましていく…